ぶろぐ

2014年06月01日
金繕いの井戸茶碗

金繕いの井戸茶碗

茶の湯の初期には、中国や韓国から輸入された器を茶碗としてみたて、

唐物として価値ある貴重な器として使用されていました。

貴重な器ですから、割れたり、欠けたりした器を、再び使えるようにと、

漆を使ってつなぎあわせ、その上を金で蒔絵を施しました。

その技法が金繕い(金継ぎ)です。

器本来の魅力をそこなうことなく、金の模様で別の美を見いだし、

価値を高めるという、かなり高尚な美意識です。

器だけでなく、釜、漆器、軸と年輪を重ね二度と手にすることの

出来ないものが価値を呼びます。

近代工業社会の価値観では常に新しさが要求されているようですが

、成就してきた社会では、建築含めて、金繕いの精神も必要です。

先人の創意や技術を謙虚に受け止め、それを生かし、新たな美を創造する。

文化財としての建築だけでなく、近代建築にも金繕いの精神を生かしたいものです。

2014年03月20日
手入れされた庭

手入れされた庭

築35年の木造住宅の改修工事をしています。

一階に居間・食堂・台所・和室に水周り。

2階に3寝室と納戸・3世帯から2世帯に変化し、今回の改修で若い世代にバトンタッチです。

建て主の丁寧な暮らし、シンプルな間取りで、個室の広さも6畳以上、

各部屋に十分な収納と納戸が完備しているため、仕上げの変更と劣化部分の改修で

住まいとして使い続けられます。

建物の躯体が痛んでいなければ、住宅は使い続けることが可能です。

周りの環境の変化さえなければ、外国並に70年以上使い続けられます。

現在空き屋が全国で700万戸といわれながら、毎年5万戸の住戸が建設されています。

高齢化、人口減の流れに住宅のストックは増え続けます。

ストックを生かすには色々の方法が考えられますが、建設時のプラン、住居床面積の重要性を

痛感します。マンション広告のチラシを見ながら、まだまだ収納が少なく、個室の狭さ

にどのような方法が有効なのかと考えています。

 

2014年02月02日
尾道:あくびカフェ・あなごの寝床

尾道:あくびカフェ・あなごの寝床

建築家協会再生部会と東京弁護士会の有志で既存建物を使い続けるための

諸制度見直しの研究会を行っています。

現行の諸制度は新築を前庭につくられており、建物を長く使い続けるためには

とても厳しい環境です。

一方で人口減で使われない建物がどんどん増えています。

一月の例会は、尾道でNPO「空き家再生プロジェクト」の片岡さんの講演

尾道は瀬戸内海の海と山に囲まれた美しい街ですが、車の入れない山手地区は

空洞化と高齢化がすすみ空き家率18%。住人のいない家々は痛みが進み、街の景観も損ないます。

NPOは地域の女性を中心に建築家や職人など様々な方々で空き家の活用方法の

企画、提案、デザイン、施工まで自力でするというとてもパワフルなNPOです。

「空き家バンク」によって、30軒以上の空き家を新たな担い手に渡し、10軒以上を再生しています。

空き家に関しての「尾道空き家談義」「現地でチャリティ蚤の市」「尾道まちづくり発表会」と

再生に関わる様々なプロセスがイベントやワークショップとして行われます。

昨年11月には、若い人が安く泊れることの出来る宿泊施設「あなごの寝床」と

「あくびカフェ」をオープンさせました。

みんなの力を借りながら、いかに安く、面白くやっていくかの活動、

そして広報、デザインの手を抜かず、尾道の魅力を再発見し、人のつながりを生み出して行く。

面白く、楽しそうな活動に尾道に行きたくなりました。

 

2013年12月11日

本と花入れ

 陶芸家 高仲健一の家族と暮らしを絵とエッセイにした本が出版されました。

 野の花を生ける小さな李朝白磁の花入れ。毎日の食卓を飾る器たち。

 陶芸家 高仲健一を知ってかなりになります。書、絵画、陶芸の作家です。

 都会で育った青年は20代でサラリーマンをやめ、千葉県の山に家を求め、

 妻と子供3人、犬、猫の生活を始めます。

 電気はありますが、水は井戸。毎日の食事の用意に薪を集め、畑を耕し、

 鶏、山羊、豚を飼う自給自足の生活をしています。

 自宅の家も沢山の友人の力を借りて大工さんとの手作りです。

 絵画、書、漢籍を読む事と生活の糧を得るために陶芸をしています。

 エネルギーに依存した消費生活の都会からわずか2時間ほどの環境で、

 高仲さんはまったく別の時間と暮らしを手にしています。

 自然のなかでの沢山の不便を良しとして、体全体で生きている爽快感が伝わってきます。

 本当の豊かさとは何なのかを考えさせる本です。

 彼の人柄を彷彿させるほのぼのとした絵を見ていると心が暖かくなります。

 高仲健一「山是山水是水」自然堂出版