ぶろぐ

2017年09月07日

東京の上野桜木と神楽坂に昭和の木造を改修した建物があります。
「上野桜木あたり」は昭和13年築の3軒家をビアホール、
ベーカリー、塩とオリーブの店が路地と座敷でつながり、
地域の拠点に改修されてます。
神楽坂の「一水寮」は昭和初期に建てられた大工寮で、
30坪ほどの登録有形文化財です。
2016年に改修され、オフィスやギャラリー「工芸青花」
として使われています。
質素な建具や格子が独特の雰囲気を生み出し、
神楽坂の裏路地の味わい深い景観に寄与しています。

時流のスタイルはすぐに古くなりますが、時間を生き抜いてきた
スタイルは新しいデザインを加えることで、懐かしさを感じる居心地の
いい空間を生み出しています。

新しい建物にどんどん建て変わる東京ですが、
新旧併存してこそ街の魅力がより深いものになります。

2017年06月27日

 

屋久島
屋久島を初めて訪れる。
樹齢1000年を超える木々の森を歩くと、自然に壮大さに圧倒されます。
縄文杉が有名で1936mの宮之浦岳がそびえ、9割が森林の島です。
島はマグマから生まれた花崗岩の塊で、石の上の植栽に驚かされます。
低地の亜熱帯、山頂は北海道という気候がこの小さい島に
日本の自然の縮図が残り、世界遺産登録の理由でもあります。
岩盤に育つ杉は成長が遅く、緻密で樹脂分が豊富で腐りにくく、
長命であることから、秀吉の時代から良材として、使用されました。
樹齢1000年以上を屋久杉、樹齢1000年以下を小杉と呼びます。
1000年から3000年という年輪の凄さに感動します。
屋久島森林組合により、耐久性、耐候性、強度に富む屋久島の杉材が
屋久島地杉の製材として流通しています。国産材の良材として
選択が広がります。

2015年05月11日

薫風の茶会

 

薫風の季節を迎えました。

東京護国寺で社中の茶会が行なわれました。

真言宗護国寺は1681年5代将軍綱吉が創建した寺です。

大正から昭和にかけて、檀家総代を努めた実業家、茶人の高橋箒庵により、

5つの茶室が作られています。

重要文化財の月光殿も滋賀県園城寺にあったものを移築し、

大広間として茶会に使われています。

宋澄庵と円成庵は三畳台目の小間 松平不味候ゆかりの茶室です。

ちなみに不味候は護国寺に眠っています。

今回は牡丹咲く坪庭に面した広間「牡丹の間」で薄茶席です。

牡丹の季節は終了してましたが、坪庭からの風が気持ちいいです。

関東の茶会が多く行われる場所は護国寺、根津美術館、畠山美術館、

横浜三渓園がありますが、皆、実業家でありながら、

近代数寄者として茶の湯を楽しんだ方々の遺産です。

財をなすだけでなく、数寄の道を極め、伝統文化を後世に伝える役目を

担っていたと、茶会に思う一日でした。

2014年12月18日

2014ブログ小笠原ー喫煙室

 

東京都新宿区に旧小笠原伯爵邸が静かにたたずみます。

小倉藩大名の小笠原30代長幹が昭和2年(1927年)

20000万坪の敷地に曽根中條建築事務所の設計により本宅を建設します。

戦時下占領軍の管轄下になり、その後東京都の所有になり、

何年間も放置されますが、2002年に民間業者により、

素敵なレストラン、宴会場として蘇っています。

日本には珍しいスパニッシュ様式で、パテイオ(中庭)があり、

当時の男性専用の喫煙室はイスラム様式です。

モロッコの住宅を思い出します。

細部に渡って密度濃い装飾や収まりを見る事ができます。

スペイン料理を提供する店として、使い続けることで、建物が生きてきます。

しばし、時間を忘れさせる空間です。

東京にも、歴史を感じる建物と新しい建物との共存が必要です。

建物入り口横の新しい地下鉄の建物が、新建材の外装です。

形はともあれ、色、素材の連続性をもつ作法が望まれます。

2014年09月17日

生糸検査所

 

日本建築家協会再生部会と東京弁護士会で歴史的建築物の保存、再生のための諸制度の

研究会を続けています。建築基準法の改正の度に現存する建物は既存不適格になります。

文化財レベルの建物は法3条適用により、基準法適用除外になりますが、

それ以外の建物は経済判断と耐震、安全等の基準適用から、

なかなか維持が難しいと判断され解体されていきます。

歴史的、文化的価値の高い建物は建物周辺の価値を高めます。

京都市、神戸市、横浜市は独自に条例を作成し、保存活用を計っています。

神戸市に神戸市都市景観条例についてのヒヤリングに行き、再生の建物も見学してきました。

まだ、数少ないですが、素敵な建物で、更なる制度の拡充を期待したいと思います。

2014年06月01日
金繕いの井戸茶碗

金繕いの井戸茶碗

茶の湯の初期には、中国や韓国から輸入された器を茶碗としてみたて、

唐物として価値ある貴重な器として使用されていました。

貴重な器ですから、割れたり、欠けたりした器を、再び使えるようにと、

漆を使ってつなぎあわせ、その上を金で蒔絵を施しました。

その技法が金繕い(金継ぎ)です。

器本来の魅力をそこなうことなく、金の模様で別の美を見いだし、

価値を高めるという、かなり高尚な美意識です。

器だけでなく、釜、漆器、軸と年輪を重ね二度と手にすることの

出来ないものが価値を呼びます。

近代工業社会の価値観では常に新しさが要求されているようですが

、成就してきた社会では、建築含めて、金繕いの精神も必要です。

先人の創意や技術を謙虚に受け止め、それを生かし、新たな美を創造する。

文化財としての建築だけでなく、近代建築にも金繕いの精神を生かしたいものです。

2014年03月20日
手入れされた庭

手入れされた庭

築35年の木造住宅の改修工事をしています。

一階に居間・食堂・台所・和室に水周り。

2階に3寝室と納戸・3世帯から2世帯に変化し、今回の改修で若い世代にバトンタッチです。

建て主の丁寧な暮らし、シンプルな間取りで、個室の広さも6畳以上、

各部屋に十分な収納と納戸が完備しているため、仕上げの変更と劣化部分の改修で

住まいとして使い続けられます。

建物の躯体が痛んでいなければ、住宅は使い続けることが可能です。

周りの環境の変化さえなければ、外国並に70年以上使い続けられます。

現在空き屋が全国で700万戸といわれながら、毎年5万戸の住戸が建設されています。

高齢化、人口減の流れに住宅のストックは増え続けます。

ストックを生かすには色々の方法が考えられますが、建設時のプラン、住居床面積の重要性を

痛感します。マンション広告のチラシを見ながら、まだまだ収納が少なく、個室の狭さ

にどのような方法が有効なのかと考えています。

 

2014年02月02日
尾道:あくびカフェ・あなごの寝床

尾道:あくびカフェ・あなごの寝床

建築家協会再生部会と東京弁護士会の有志で既存建物を使い続けるための

諸制度見直しの研究会を行っています。

現行の諸制度は新築を前庭につくられており、建物を長く使い続けるためには

とても厳しい環境です。

一方で人口減で使われない建物がどんどん増えています。

一月の例会は、尾道でNPO「空き家再生プロジェクト」の片岡さんの講演

尾道は瀬戸内海の海と山に囲まれた美しい街ですが、車の入れない山手地区は

空洞化と高齢化がすすみ空き家率18%。住人のいない家々は痛みが進み、街の景観も損ないます。

NPOは地域の女性を中心に建築家や職人など様々な方々で空き家の活用方法の

企画、提案、デザイン、施工まで自力でするというとてもパワフルなNPOです。

「空き家バンク」によって、30軒以上の空き家を新たな担い手に渡し、10軒以上を再生しています。

空き家に関しての「尾道空き家談義」「現地でチャリティ蚤の市」「尾道まちづくり発表会」と

再生に関わる様々なプロセスがイベントやワークショップとして行われます。

昨年11月には、若い人が安く泊れることの出来る宿泊施設「あなごの寝床」と

「あくびカフェ」をオープンさせました。

みんなの力を借りながら、いかに安く、面白くやっていくかの活動、

そして広報、デザインの手を抜かず、尾道の魅力を再発見し、人のつながりを生み出して行く。

面白く、楽しそうな活動に尾道に行きたくなりました。

 

2014年01月09日

はなびら餅

茶の湯では初釜がありました

濃茶席で師匠の手前で濃茶をいただきます

茶碗は楽茶碗の島台。お菓子は花びら餅。

味噌飴と甘く味付けしたごぼうを柔らかな求肥で包んだ生菓子です。

平安時代の新年行事「歯固めの儀式」を簡略化したもので、

600年にわたり宮中のおせち料理の一つで、長寿を願い、餅の上に赤い

菱餅を敷き、その上に猪肉や大根、鮎の塩漬け、瓜などをのせて食べて

いました。だんだん簡略化され、餅の中に食品を包んだものに、さらに

は鮎はごぼうに、雑煮は餅と味噌餡でかたどったものとなりました。

明治時代に裏千家が初釜のときに使うことを許可され、

新年のお菓子として使われるようになりました。

茶の湯は季節を大事にします。

お道具の見立ても正月の目出たさ一色になります。

茶入れは福耳 茶杓は初夷 という素敵な銘がついています。

四季のある風土を大切し、季節を感じることが出来る時間

茶の湯を続けている理由かもしれません。

福引きで干支の馬の土鈴が当たりました。

 

 

 

2013年12月11日

本と花入れ

 陶芸家 高仲健一の家族と暮らしを絵とエッセイにした本が出版されました。

 野の花を生ける小さな李朝白磁の花入れ。毎日の食卓を飾る器たち。

 陶芸家 高仲健一を知ってかなりになります。書、絵画、陶芸の作家です。

 都会で育った青年は20代でサラリーマンをやめ、千葉県の山に家を求め、

 妻と子供3人、犬、猫の生活を始めます。

 電気はありますが、水は井戸。毎日の食事の用意に薪を集め、畑を耕し、

 鶏、山羊、豚を飼う自給自足の生活をしています。

 自宅の家も沢山の友人の力を借りて大工さんとの手作りです。

 絵画、書、漢籍を読む事と生活の糧を得るために陶芸をしています。

 エネルギーに依存した消費生活の都会からわずか2時間ほどの環境で、

 高仲さんはまったく別の時間と暮らしを手にしています。

 自然のなかでの沢山の不便を良しとして、体全体で生きている爽快感が伝わってきます。

 本当の豊かさとは何なのかを考えさせる本です。

 彼の人柄を彷彿させるほのぼのとした絵を見ていると心が暖かくなります。

 高仲健一「山是山水是水」自然堂出版

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